3.0 点
エージェントの高評価が招いた悲しいすれ違い
それは29歳で転職活動をしたときのことです。
日本有数の大手IT企業で主任を務め、当時の年収550万円、TOEIC820点、営業とプリセールスの経験があり、エージェント側からも非常に高く評価いただきました。
当時の私は大企業で働くことに辟易しており、できれば自分の責任範囲が広く何でもやらなければいけない中小企業に憧れを抱き、その進路をエージェントに相談していました。
いくつかの候補の中で、会社の規模は小さいながら自社で企画開発している工業製品を世界中に直販している企業を紹介してもらいました。
役割としては新規でドイツに支店を立ち上げるため、営業マインドを持ちながら英語ができて、一人で販路を開拓するというものでした。
仕事の内容に魅力を感じ、面接でも高評価を受けて晴れて入社することに。
エージェントには、中小企業に行くのだから年収は良くて現状維持、100万マイナスくらいまでは許容範囲だと伝えていました。
入社時の条件提示などは特になく、中小企業だし細かいことは言わないほうがいいかもな、と思いそのまま入社しました。
入社直後に会社の異様なムードに気が付きました。
あれだけ自主自律を転職希望者に掲げながら、その実は全ての判断を社長がしないと気に食わない、クビにするという超専制的なものでした。
すでにある程度色々な物事を自分の判断で進めていた私は、その時点で社長の逆鱗に触れていたのです。
そして迎えた最初の給料日。
振り込まれた額に驚愕しました。
なんと、年収ベースで700万以上の計算だったのです。
聞けば、エージェントが最初に提示した額が800万円。
社長もそこまで有能な人材ならば無理はする、とのことで700万円で妥協したとのこと。
にもかかわらずお前の働きぶりは全くの期待外れだと激しい叱責。
ただ、エージェントとの契約上しばらくは給与はいじれないとのことで、その後の2年は非常につらい思いをしました。
エージェントビジネスが成果報酬型である以上、条件を釣り上げるのは仕方のないことですし、普通に考えれば素晴らしい仕事だったのかもしれませんが、今回のケースではとても悲しい結末となりました。